--------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2012-04-28

『言葉の裏側に』

\やっと時間とれたぁ/
     (・ω・)

と、いうことで今更うpでございます。ほんと今更ですよ。
ちなみにリクエストを頂いたのは11/20です。ほんと今さry

リク内容は『ツーカーで話が通じてるお前ら夫婦か!なパチュ霖』
こうですか、わかりませんというかできません!><
誰か私にSS書く時間と才能を!


『言葉の裏側に』

主な登場人物
霖之助、パチュリー







 読書は知識見聞を広くする為に効率的な手段である、と僕は思う。
 自分とは異なった思想や価値観、体験談。そう言った別の観点からの意見は、物事を多角的に観ることができる有能な手段とも言っていい。

 ただし、本のみでの知識の吸収は、ある程度の危険性を併せ持っている。
 というのも、その書物に記してある事柄も一人の意見でしかない、ということだ。

 著者が事実をどう客観的に書こうとも、そこには必ず自身の価値観や思想が含まれる。どれだけ完璧に事実を伝えようとしても、鵜呑みにしては真実と絶対的な誤差が生じてしまう。
 書物は意見であり、自分の意見を照らし合わせ、咀嚼することで初めて自身の知識となる。
 そしてその知識をさらに多方向から観ることによって、知識と真実の誤差は限りなく縮まっていく。

「パチュリー、この部分なんだが」
「同じ系統の本があの本棚の下から5番目にあるから参考にするといいわ」
「わかった」

 つまるところ、他者との意見交換も立派な知識見聞の一つなのである。

 紅魔館にある広大な大図書館の中。
 僕こと森近霖之助は、図書館の主であるパチュリーと静かな読書会を楽しんでいた。

「……貴方、最近毎日ウチに来てるわよね」
「ああ、流石に迷惑だったかな?」
「……別に迷惑じゃない、けど」

 事の発端はある日、レミリアが紅魔館へ出張出店を依頼してのことだった。
 商売も終わり、ほくほく顔で帰ろうとした僕の頭は、ちらと魔理沙から聞いた話を思い出したのだ。

 曰く、紅魔館の大図書館には、膨大な量の本が眠っている。

 常日頃から読書を嗜む僕にとって、興味が湧かない方がおかしいだろう。
 新しい顧客の獲得と称してメイド長に案内された大図書館は、まさに知識の宝庫とも言える場所であった。
 希少なグリモワールを二冊も寄贈し、何とか利用許可までこぎつけた僕は、すっかりこの大図書館に入り浸るようになっていた。

「ん、喉が渇いたわ。小悪魔、紅茶を2つ頂戴」
「はーい、少々お待ちを」

 パチュリーと小悪魔の声が、音の無い図書館に広がる。
 とてとてと小走りで紅茶を用意しに行く小悪魔を見送り、パチュリーは再び本を広げた。

「そうだパチュリー、その術式の構成はどう思った?」
「基礎的な構築部分は中々よ。でも行使による技術と運の比率がいまいちね。貴方は?」
「君と同じ意見かな。もう少し呪術やオカルト要素を混ぜてもいいと思う」
「なるほど」

 再び沈黙。
 図書館の利用許可を貰った当初は気まずさを感じていたが、今はこの静けさが心地よい。

「……霖之助、この魔術に関する資料は」
「君から見て左から三つ目の本のタワーだよ」
「そう」

 パチュリーが先程僕が教えた本のタワーから目的の本を引き抜く。
 ……が、バランスが悪かったのかタワーは雪崩と化して彼女を容赦なく飲み込んだ。

「むきゅっ」
「……退かすから少し待っててくれ」
「……ありがとう」

 少々バツが悪そうにパチュリーが顔を朱に染める。もうこの光景にもすっかり慣れてしまった。
 本の雪崩からパチュリーを引っ張り出し、衣服に付いた埃を払ってやる。

「毎度言ってるけど本を引き抜く時は気を付けてくれ」
「わかってるけど面倒になってついやっちゃうのよねぇ」
「とりあえず怪我はないかい?」
「ええ、大丈夫よ」
「それは良かった」

 救助も済んだことで読書に戻ろうとした矢先、紅茶とクッキーを乗せたトレイを持って小悪魔が帰ってきた。

「お待たせしましたー」
「あら、ラングドシャね」
「はい、紅茶に合うと思って咲夜さんから頂いて来ました」
「ありがとう、小悪魔」
「いえいえ」

 そう言って小悪魔は直ぐに本の整理へ戻って行った。これで悪戯さえしなければ優秀な遣い魔なんだけど。
 そう思いながら紅茶を口に運ぶ。やはり良質な茶葉を使っているのだろう、店にある茶葉とは雲泥の差だ。

「貴方の店にある安物の茶葉と比較しない方がいいわ。咲夜やレミィが怒るわよ」
「……口に出てたかい?」
「顔に書いてあるもの」

 くす、と彼女が意地悪気な笑みを浮かべる。反論できる要素がない僕は、ただ苦笑いを浮かべることしかできなかった。

「……あ、霖之助」
「砂糖だね。二つでいいかな?」
「ええ」

 パチュリーは紅茶を飲む時に必ず砂糖を二つ入れる。ちなみに魔法研究の際には三つ、レミリア達とのお茶会には一つだ。
 真っ白の角砂糖をカップに入れ、パチュリーに手渡す。ありがとうと言ってパチュリーは紅茶を受け取り、一口運んだ。

「……ふふっ」
「何かしら、人の顔を見て笑うなんて失礼ね」
「ああ、いや失礼。ちょっと感慨深いなぁと思ってね」
「どういうことかしら」

 大したことではないけどね、と前置きして、僕は続けた。

「君も随分素直にありがとうと言ってくれるようになったなぁ、と」
「え?」
「最初の頃は『そう』やら『ん』やらでまともな返事すら怪しかったじゃないか」
「……そうだったかしら」
「そうだとも」

 あの時は大変だった。なにせ来たばかりの時は何処に何の本があるかなんてさっぱりだったし、パチュリーに聞いても指やアゴで方向だけ示して「ん」の一点張り。
 未開の地に来たばかりの僕は予想通り散々迷った挙句、おまけに案内を頼んだ小悪魔には悪戯される羽目に。踏んだり蹴ったりにも程がある。

「まあ、今では意見交換もしてくれるし参考にさせてもらってるよ」

 ありがとう、と今度はこちらから礼を言う。ぷいとそっぽを向くパチュリーが微笑ましく、思わず笑みが溢れた。

「……ありがとうだけで大袈裟よ。大したことを言ってる訳でもないし」
「そんなことはないよ。君も言霊を知っているだろう?」
「知ってるけど……」

 言葉には力が宿る。力は魂となり、現実への介入を許す。それが言霊だ。
 言霊はその言葉を発する意志、気持ちによって強大になり、意志の強い言葉の力は人の根底にをも影響を及ぼす。

「そして『ありがとう』という言葉は本来、『有り難し』という古語から来ているのさ」
「ふぅん……あ、そう言えば」
「知ってたようだね」
「……まあね、館にもそういうのに詳しい奴がいるから」
「ああ、たしか……紅美鈴だったかな? 花畑の管理人だったね」
「いやそっちは副業。本業は門番よ」
「えっ」
「えっ」
「……あー、うん、とにかく、君も『ありがとう』の原義を知っているなら話は早いな」

 存在することが難しい、だから『有り難し』。
 要するに、ありがたい事というのは、それが滅多にないという事を表しているのだ。
 今では皆が何気なく使っている言葉でも、原義にはこんな深い意味合いがある。
 そして本来の意味を思い出し、心から発する『ありがとう』には、より強い力が宿る。

「要するに凄く感謝してるってことね……そこだけ話せばいいじゃないの」
「説明しないとわからないこともあるさ。僕の気持ちをもっと知って欲しくてね」

 そう言うとパチュリーは顔を真っ赤に染め、本に顔を隠してしまった。
 これは僕の揺るぎない本心。だからこそ、言霊の力はパチュリーの顔を背けるまで強大になるのだ。
 まあ、話す時はちゃんとこちらに顔を向けて欲しいけど。

「うふふー、相変わらずですねぇお2人とも。淹れたての紅茶よりもお熱いです」
「こ、小悪魔!?」
「はい小悪魔です。それよりもラングドシャのお代わりはいかがでしょう?」
「頂こうかな。パチュリーがもっと食べたそうだ」
「べ、別に私は……」
「ではさっき本を読みながら伸ばした手は何を掴むつもりだったのかな? 空を切って随分とがっかりしたようだったけど」
「……むきゅー」
「店主さんはパチュリー様を良く見てますねー、まるで夫婦みたいです」
「ふ――」
「それではお持ちしますので少々お待ちをー」

 パチュリーが何か言おうとする前に、小悪魔は再びとてとてと図書館から出ていってしまった。

「…………」

 途端に大図書館に沈黙が降りる。
 別にここでは静かになること自体、珍しいことではない。……のだが。

「夫、婦……ふうふふうふ……」

 先程から明らかにパチュリーの様子がおかしい。
 妙にそわそわしたり、ちらちらと僕を見てくるので僕の方も落ち着かなくなってきた。いやまあ原因は間違いなくさっきの小悪魔なのだが。

「ね、ねぇ霖之助」
「……何かな」
「……私と夫婦になるって言われて、その、どう思った?」

 期待と一抹の不安を併せ持った表情で、パチュリーは尋ねてきた。上目遣いで見つめる双眸は潤んでゆらゆらと揺れている。

「そうだね……パチュリー、君はどう思った?」
「え、わ、私? 私は……」
「そうか、まだ僕との関係はギブアンドテイクの仲だったか」
「え、ち、ちが――」
「いや実に残念だ、僕は少なからず君とはもう少し親身な関係だと思っていたのだが」
「だ、だから――」
「まあ冷静に考えたら自分の場所にずかずかと入り込んでくる部外者に好印象など抱く筈もなかったね、我ながら――」
「あぁもうわかった! 貴方の気持ちはわかったわ! だからもう結構!」

 耳まで赤くなったパチュリーが怒鳴る。どうやら僕の気持ちはちゃんと伝わったようだ。

「はぁ……伝え方が遠回り過ぎるのよ、貴方は」
「それはお互い様だろう?」
「……それもそうね」

 どちらかともなく、僕とパチュリーは互いに笑い合った。

 遠回しでしか素直になれない僕達だけど、それでも言葉は自分の気持ちを伝えてくれる。
 どんなにひねくれた言葉も、真意を隠した言葉も、彼女ならきっとその中の答えを見付けてくれる。そんな確信のようなものがある。

 傍から見れば、それははきっと不器用で滑稽に見えるかもしれない。
 だけど、それが僕らには一番性に合ってると思う。

 そんな彼女に、僕は惹かれているのだろうから。

「ところでパチュリー、外の世界では夏目漱石という小説家がいてね。彼はある言葉を『月が綺麗ですね』と訳したらしいんだ」
「へぇ……どんな言葉を訳したのかしら?」
「それはね――」

 全く、言葉とはなんて素晴らしいものなんだろう。



 <了>

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

赤

Author:赤
霖之助が好きです
でも霖之助と少女達の恋愛はもっと好きです
苦手な方は今すぐ戻るのボタンを!

東方は専ら非想天則ばっかりやってます
あんまり伸びないのが最近の悩み

どうでもいいですがリンクはどなたでもフリーです
お知らせしてくださると跳ね回って喜びます

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
来店者数
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。